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HOME > セミナー情報> 第39回日本臨床検査自動化学会 ランチョンセミナー10
セミナー情報
 
 
第39回日本臨床検査自動化学会 ランチョンセミナー10
「尿沈渣検査の自動化はどこまで検査室に貢献できるか−精度向上と効率化の実例−」
 2007年9月26日〜28日、パシフィコ横浜にて第39回日本臨床検査自動化学会が開催されました。学会2日目の27日に弊社後援のランチョンセミナーを開催いたしましたので、ご報告いたします。今回のランチョンセミナーは座長に旭川医科大学 臨床検査医学講座 教授である伊藤喜久先生を、演者には千葉大学医学部附属病院 検査部 伊瀬恵子先生をお招きし、『尿沈渣検査の自動化はどこまで検査室に貢献できるか−精度向上と効率化の実例−』という演題でご講演いただきました。 座長の伊藤喜久先生
▲座長の伊藤喜久先生

演者の伊瀬恵子先生
▲演者の伊瀬恵子先生
 
●概 要
 尿沈渣検査では、遠心後に上清を除去し、沈渣成分を顕微鏡で観察して1視野あたりの成分をランク表記して報告されています。このため人手がかかり、個人差や施設間差の大きい検査といわれています。近年、自動化が遅れていた尿沈渣検査の分野に、省力化を目的として自動分析機を導入する施設が増えています。本セミナーでは、尿沈渣検査の自動化による精度向上と効率化の可能性を中心に、その有用性と問題点についてお話します。

●尿沈渣自動分析機の紹介と性能調査
 尿沈渣自動分析機は、米国のアイリス社で1982年に画像認識型のYELLOW IRISが開発されて以来、日本でもさまざまな機種が開発・発売されてきました。代表的なものでは、沈渣成分をスキャッタグラムで解析するシスメックス社のUF-1000i、画像認識で解析する日立社の日立6800、東洋紡社のU-SCANNARU、アークレイ社のAUTION IQ(オーションIQ)などがあります。

●尿沈渣アトラスの紹介
 画像認識型分析機で円滑に画像編集をするためには、それぞれの分析機に対応した沈渣成分アトラスが必要だと考えています。当院の検査部ではAUTION IQ導入に伴い、教育用としてAUTION IQ用の尿沈渣アトラスを作成しました。鏡検法の画像に加え、他検体から検出された成分も掲載しています。同じ成分でも形態の異なる画像は、できる限り掲載しました。
 また、アトラスとは別に、上皮細胞の鑑別を容易にするための目安を作成しました。ひと目でそれぞれの特徴がわかるように工夫して、新人教育などに活用しています。この目安により画像編集者の客観性を維持することができ、精度を高められると考えています。

●尿沈渣ロジック例の紹介
 尿沈渣自動分析機の導入による省力化実現のためには、鏡検法での再検率を下げることが重要です。また、精度を維持しながら効率よく検査を行うためには、良好な鏡検ロジックを構築することが必要です。当院で用いているAUTION IQのロジックでは、結果報告の前に必ず定性値とのクロスチェックがかかります。また、前回値や画像編集条件にて画像編集し、鏡検フラグがついた場合は鏡検法を行います。AUTION IQで定性蛋白(1+)以上を画像編集すると、鏡検法に近い検出率が得られました。また、UF-110iでは、定性蛋白(1+)以上や赤血球形態情報Dysmorphic、円柱フラグ情報を鏡検ロジックに組み入れると、効率よく精度の高い検査が可能となります。

●鏡検法と尿沈渣自動分析機の精度管理
 「尿沈渣検査法2000」(社団法人日本臨床衛生検査技師会 尿沈渣検査法編集委員会 監修/編)の発刊後、鏡検法について手技が統一されてきましたが、2005年の千葉県臨床検査技師会の調査では、鏡検法における施設間差が大きいことが明らかになりました。一方で、当院での検討において日立6800の日差再現性はCV10%以下と良好でした。市販コントロール尿の測定でも、日立6800、AUTION IQ共にn = 15でCV15%以下と良好でした。分析機では沈渣成分を1μLあたりで測定し、1視野あたりに換算しているため、鏡検法と比較して精度が高い方法といえます。さらに伊藤喜久先生から提供された尿沈渣保存液を使用し、分析機・鏡検法における保存安定性を検討しました。その結果、試料の安定性は良好であり、この保存液を用いることで分析機と鏡検法両方の精度管理が可能になると考えられます。

●尿沈渣自動分析機の性能と限界
当院におけるUF-1000iの細菌検出と細菌培養の相関調査では、1ランク一致率は75%で、細菌培養で有意に同定された細菌の一致率は桿菌で67%、球菌で100%と良好な成績でした。また、当直時間帯の専任技師不在時は、技術力不要で迅速に対応することができるため、分析機は有用と考えられます。なお、日立6800で異型細胞が検出できない例がありましたが、これは分析量が少量であるためと考察しました。分析機では検体ごとの背景は加味されないため、このような問題点を把握して、見逃しを極力回避できるようなロジックを構築することが必要です。

会場は大盛況でした
▲会場は大盛況でした
 
●尿沈渣自動分析機の導入効果
 当院の一般検査室は、平成元年10月に5名体制から4名体制になり、平成8年には日立6800と搬送システムが導入され、平成16年4月に1名の削減がありました。平成19年2月のAUTION IQ導入に伴い尿定量検査が再編入され、事実上2.5名が尿沈渣検査に携わっています。しかしながら、1名あたりの月間の尿沈渣検体処理数は、平成元年の965検体から平成19年には1555検体に増加しています。これは分析機を導入したからこそ達成できたことであり、総合的に見て尿沈渣検査の自動化が検査室に貢献しているといえます。分析機を導入する場合、性能だけでなく本体価格やランニングコストも重要な要素になります。それぞれの施設の条件を加味したうえでさまざまな機種を比較検討して、分析機による沈渣成分の分類能力や測定後の鏡検率を十分把握することが必要です。分析機の利点の有効活用と、不得意な点を補う工夫が、尿沈渣検査の精度向上と効率化を考えるうえで最も重要と言えます。


伊藤先生、伊瀬先生、ありがとうございました。
ご来場いただきました皆様におかれましては、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
ありがとうございました。
   
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