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2007年3月24日、大阪市淀川区の新大阪ワシントンホテルプラザにてアークレイ尿検査セミナー2007大阪を開催いたしました。セミナーでは、座長に甲子園大学栄養学部教授の福原吉典先生、基調講演に京都市立病院臨床検査科主任の川辺民昭先生、特別講演に大阪大学医学部附属病院医療技術部検査部門主任臨床検査技師の今井宣子先生をお迎えし、尿沈渣検査についてご講演いただきました。
ご講演いただきました内容についてご紹介いたします。
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▲座長の福原吉典先生 |
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基調講演
「尿中卵円形脂肪体の見方と意義」京都市立病院臨床検査科主任 川辺民昭先生
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▲演者の川辺民昭先生 |
川辺先生のご講演では、尿中卵円形脂肪体(OFB)について、その定義と判定基準の現状から、細胞像、細胞由来そして臨床的意義についてお話いただきました。
OFBとは高蛋白尿を呈する腎疾患患者の尿中に出現する尿細管上皮細胞由来の脂肪顆粒細胞であり、ネフローゼ症候群診断基準の補助所見となっています。しかし、細胞像だけでは尿細管上皮由来かそれ以外なのかの鑑別は難しいため、ネフローゼ症候群との関連を重視し、尿蛋白強陽性で他の脂肪成分や円柱の存在が認められるといった腎疾患(ネフローゼ症候群)を示唆する所見が付随することが判定基準となっているとのことです。
次に細胞像においては、@主として孤立散在性に出現し、細胞は円形、類円形および不定形をしており、細胞質内に光沢のある脂肪顆粒が充満して認められるもの、A細胞集団として出現し、乳頭状、放射状配列で存在するものがあることをご説明され、それぞれについて細胞像を示されました。さらにOFBが出現する疾患での具体的な細胞像を、多くの画像を使い説明いただきました。
続いて細胞由来について検討した結果をお示しいただきました。従来、尿中にOFBが認められる症例の腎組織(尿細管)に脂肪沈着が認められることから、OFBは尿細管上皮細胞由来であると考えられてきました。しかし、免疫染色などによってOFBが尿細管上皮細胞由来であることを確認した報告はこれまでなく、逆に多くがマクロファージ由来であることがわかってきています。尿細管上皮またはマクロファージを認識する抗体(免疫染色)とズダンV(脂肪染色)を用いた二重染色を行った結果、卵円形脂肪体の36.4%は細胞集団または孤立散在性に出現する尿細管上皮細胞由来(大部分は近位尿細管由来)であり、55.6%が孤立散在性に出現するマクロファージ由来であることがわかりました。このことから、OFBは単一の細胞由来ではないが、その多くはマクロファージに由来することをお示しいただきました。また、孤立散在性に出現するOFBの由来を尿沈渣から鑑別することは困難であり、現時点では由来鑑別することの臨床的な必要性については不分明のため、報告の際には従来通り一様に卵円形脂肪体と表現するのが妥当ではないかとのことでした。
最後にOFBの臨床的意義の新たな可能性についてお話をいただきました。ネフローゼ症候群患者の腎生検組織をOFB陽性群と陰性群とで比較したところ、OFB陽性群は間質の細胞浸潤や繊維化、尿細管の萎縮といった尿細管間質病変をきたす傾向があり、また腎不全に進行する頻度が高かったとのことです。したがって、OFBはネフローゼ症候群診断の補助所見のみならず、尿細管間質病変の指標や予後不良を予測する因子として利用できる可能性があり、尿沈渣の有用性はさらに増すのではないかとの展望をお示しいただきました。
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特別講演
「だから一般検査はおもしろい! 〜私がいま一番言いたいコト〜」
大阪大学医学部附属病院 医療技術部検査部門 主任臨床検査技師 今井宣子先生
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▲演者の今井宣子先生 |
今井宣子先生のご講演では、検査技師の皆様にお伝えてしておきたいことを中心にお話いただきました。ご講演のはじめには今井先生の学生の頃や働きはじめた頃の写真を紹介され、初めての学会発表や講演会のエピソード、最初に原著論文を発表した時のお話を、今井先生が保管されていた膨大な資料の一部を示しながらご紹介されました。そして、「人間は楽をするのではなく、自分にとって厳しい課題を与えてレベルアップをするように」とのメッセージを伝えられました。また、先生が携われた研究テーマについてもお話され、”一般検査の精度管理の実践と方法の確立”などのテーマについてご説明いただきました。
次に、検査室の効率的な運用についてお話いただきました。1日400件もの尿検査依頼を3人でこなすためにどのように検査システムを構築し、運用されているかをご説明される中で、機械でできることはできるだけ機械でシンプルに実施し、一方臨床が本当に必要としている情報は誤りなくできるだけ早く結果を返すべきであるとのご意見を述べられました。また、検査室にて稼動しているアークレイ製全自動尿分析装置(AX-4030 )と同尿中有形成分分析装置(IQ-5210:以下IQ)を例に挙げ、尿中有形成分分析装置の効率運用法についてご説明いただきました。IQで赤血球数および白血球数が5/HPF以下であり他の粒子が存在しない場合は装置による自動分類結果で検査を完結させることが可能であること、さらに尿定性とIQの結果について自動クロスチェックを行うことなどにより、尿沈渣依頼のあった検体のうち、鏡検を行う検体を20%以下とできることを、先生が行われた検証結果を元に示していただきました。
最後に、今井先生が「一番言いたいコト」として、「一般検査に関する技能は本や人から教わるだけでなく、臨床から学ぶことが重要である。検査技師はScientistであり、知識を共有化するためにも自らの経験を論文化し広く伝えていかなくてはならない。そして、科学の頭脳と奉仕の心を併せ持った医療チームの一員であることを認識するべきである。」というメッセージを伝えてらっしゃいました。そして、自分の習熟度を試すにも認定一般検査技師などの資格取得に挑戦し、積極的に自己の向上に努めてほしいとのお言葉をいただきました。
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今回のセミナーではあいにくの雨模様にもかかわらず、多くのお客様にお越しいただきました。ご講演いただきました先生方、ならびに御来場いただいた皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
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▲会場の様子 |
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