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HOME > 食事サポート > [食事サポートに関するレポート]地中海型食事で満足感のある美味しい食事療法を-SMBGを用いて-
食事サポート
地中海型食事で満足感のある美味しい食事療法を〜SMBGを用いて〜
 
 東京慈恵会医科大学附属第三病院では、糖尿病の外来患者さんを中心とした患者会「いずみ会」があり、月に1度のペースで開催されています。特に患者さんが楽しみにしているのは半年に一度行われる「食事会」で、地中海型食事のフルコースを食べながら、食事療法を行う上での注意点を学び、食前食後の血糖値をSMBGで確認するというものです。

 地中海型食事とは地中海ダイエットとも言われる地中海地域の伝統的な食事で世界的に「超健康食」として注目されている食事です。 調理法は加熱時間を短くし、素材を生かし素材の持つうまみを引き出す方法がとられます。 油脂として一価不飽和脂肪酸を多く含むオリーブ油を使い、野菜をたっぷりと使うのが特徴です。
左からシェフの前田亘彦さん、横山淳一先生、栄養課の藤山康広さん
▲左からシェフの前田亘彦さん、
横山淳一先生、栄養部の藤山康広さん

 この地中海型食事は糖尿病・代謝・内分泌内科 診療部長の横山淳一先生が日本では初めて糖尿病患者の食事療法として取り入れ、 この「いずみ会」はそれを具現化した食事会なのです。

 横山先生は著書の中で、『生涯にわたって食事療法を継続させるためには満足感のある美味しい食事を指導することが肝心であり、 美味しいものを食べようとする患者を悪い、と決め付けるような指導ではコンプライアンスの向上はとても期待できない』と記されています。(CLINICIAN 52(536)54-70,2005)

 このいずみ会の食事会では患者さんは美味しいお料理を楽しく食べ、食前食後で血糖値を測り、 食材の選び方や食べ方を学び、改めて自分で糖尿病と向き合って食事をコントロールしていこうとする患者さんの姿がありました。 食事会の後の帰り道はみんなお腹も心もいっぱいでニコニコ顔です。 こんな魔法のような食事指導の詳細を以下にお伝えします。

 今回参加した患者さんは約70名。大学の食堂にずらりと席が作られています。 参加者は会場に入るとまず食前の血糖測定を行い、自分の血糖値を確かめます。 調理場からは良いにおいが漂い始め、配られた本日のメニューが、みんなの食欲をかき立てます。
はじめに横山先生からご挨拶があり、おいしいものを楽しく食べることが健康に悪いはずがない。 どのようなものを選んでどのように食べるかがとても大切で、 それを学ぶことでたとえ糖尿病であっても美味しいものを楽しく食べてほしいというお言葉がありました。


 まず、テーブルの上には食前酒の代わりに良く冷えた厳選されたミネラルウオーター(ボルビック)が出されます。 ボルビックは、食事に良く合うミネラルウオーターで、カルシウム、マグネシウムを程よく含むということです。 さらに先生よりペットボトル飲料を選ぶ際の注意点のお話が続きます。 糖尿病の人は血糖値が上がりやすい体質なので、砂糖やブドウ糖を含む飲料は飲まない方が良い、 清涼飲料水を飲む際は表示をよく見るよう注意が促されます。
 会場にはインスリンを打つ方のために小部屋が用意され、また食前に投薬を指示されている患者さんはボルビックで薬を飲まれます。


サラダ ニソワーズ(ニース風サラダ)
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 さて、いよいよお料理です。アンティパスト(前菜)は「サラダ ニソワーズ(ニース風サラダ)」です。 アップルビネガーとオリーブ油が、蒸したじゃがいもやトマトにうまく馴染んで野菜全体がふんわりまとまっています。
 先生より、食事の最初に野菜から食べ始めることで、その後の炭水化物による血糖値の上昇をより緩やかにするという解説と、 サラダを食べる際はドレッシングの選び方に注意すること、 オリーブ油と酢という組み合わせが一番野菜の味を引き立て味もべとつかないのでお勧めであるというお話がありました。  

 プリモ・ピアット(1皿目の料理)は「ガスパチョ(スペイン風冷製スープ)」です。 このスープはトマトベースのフレッシュな野菜にニンニクを加えた、スペインのアンダルシア地方の夏のスープです。 先生より、暑い夏でも食べやすく、食欲がないときでも元気が出て野菜をたくさん摂ることができるスープであると解説がありました。 参加者の中でスペインに行ったことのある方も「本場に負けない味」と大絶賛でした。

ガスパチョ(スペイン風冷製スープ)
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 セコンド・ピアットとコントルノ(2皿目の料理と付け合せ)はまずはお魚で「カジキマグロのグリル ラタトゥイユ添え」です。 カリッと仕上がった香りのよいパン粉でグリルされた軟らかなカジキマグロと一緒にラタトゥイユを食べると、 カジキマグロと野菜のおいしさが口いっぱいに広がります。
 先生より、メインでも野菜がしっかりたくさん食べられるのが地中海型食事であるという解説があり、 「ラタトゥイユ」は野菜をおいしくたくさん食べることができ、 少量の油と一緒に煮るので野菜の脂溶性ビタミンもしっかり取れ満足感が高まるのでとてもお勧めの野菜調理方法であるというお話がありました。

 患者さんより「野菜が甘いけど、砂糖が入っているのですか?」という質問がありましたが、 先生より「その甘さは野菜そのものの甘さです」という説明があり、みな野菜の甘さに驚きつつ、安心しておいしくいただきました。


 次のお皿はお肉で「骨付き仔羊肉のソテー 温野菜」です。 骨付きのボリューム感にこんなの食べていいの?と少し心配そうな顔もちらほら見られるほど食べ応えのありそうなお肉です。
 先生よりこのお皿を例に、お肉を選ぶときの注意点がありました。まず羊の肉は脂肪分が少なく赤身が多く、 特に仔羊(大人のラムは臭みもあるため)はお勧めということです(でも仔羊は牛肉より高いことも!)。 また、羊に限らずお肉を食べる際の部位は「骨付き」を選ぶことがポイントで、骨に近い方が、筋肉質で脂身が少なく、 コラーゲンも多く肌も美しくなり、また骨の分見た目も大きく、 さらに食べる際にはよく噛まねばならないので満足感を得やすいという説明がありました。 お魚でも切り身より一匹丸ごとを調理する方がよいとのことで、なるほどとうなずく患者さんも多く見受けられました。

骨付き仔羊肉のソテー 温野菜
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ブロッコリ入りパスタときのこ入り麦ご飯
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 さらに次のお皿は「ブロッコリ入りパスタときのこ入り麦ご飯」です。 ペンネのショートパスタと茹でたブロッコリに、じっくり炒めた玉葱の甘みとパプリカが絡み合い、 シンプルながらも改めてブロッコリのおいしさを感じるパスタです。 また、きのこ入り麦ご飯は東京慈恵会医科大学病院のオリジナルメニューで本院でも給食で週に1回は出るメニューだそうです。 今回は地中海風に合わせて隠し味にホタテのスープを使い、風味豊かな麦ご飯に仕上げてあります。

 先生より、ブロッコリは日本では茹でてマヨネーズで食べることが多いがそれではマヨネーズの味しかしない。 ブロッコリ本来の味を味わうには今回のような玉葱の甘さを生かしたシンプルなソースが良く合うとのことでした。 さらにブロッコリは地中海原産の野菜でカロリーが低いのに満腹感を得やすい野菜で、 さまざまなビタミンや食物繊維も多く大いに勧められる野菜であると説明がありました。

 そしてなんと今回の食事会はミニコンサート付きです。メイン料理が一通り終わったころにゴスペルの生ライブが行われました。最初は戸惑い気味だった参加者も手拍子とともに「ハレルヤ」をみんなで歌い、楽しいひと時を過ごすことができました。

 最後のドルチェは「フルーツとアイスクリーム」です。フルーツは夏の果物であるパイナップルで、アイスクリームはグリコ社の「カロリーコントロールアイス」をいただきました。

フルーツとアイスクリーム
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 前菜に始まりデザートまで計6皿を、メニューの解説や食事療法のポイントも踏まえながら、 また同じテーブルの方とおしゃべりをしながら2時間かけてじっくり味わいました。 デザートが終わるころにはお腹も心もいっぱいになって満足しみんな笑顔です。


 「では最後に血糖値を測りましょうか」という先生の声に、参加者のちょっと曇った顔がのぞきます。 しかし、測ってみると不思議なことに大半の方が食前に測ったときよりも下がっています。 血糖が上がっている方もいつもよりかなり低めで「けっこう食べたのにあまり上がっていない・・・」と不思議顔です。 「選ぶ食材や調理方法で血糖が上昇しないものなんだね」と先ほどの笑顔が戻ってきました。
 食事の前後に血糖値を測定することで、食事による血糖の上昇を客観的に知ることができ、 自発的な血糖コントロールに結びつくのです。
 まだインスリンを打っていない患者さんの中には、手軽に血糖測定できるSMBGを体験してみて、 「これからも食後に血糖値が高くなりすぎていないか自宅でも測ってみようかしら」という方もおられ、 患者さんが糖尿病や食事療法に対して前向きな気持ちになっているのがうかがえました。
   
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